米子から、「働く」をつくる。
鳥取県米子市で、就労継続支援A型事業所シェルティを運営しています。
私たちの支援の軸は、施設外就労です。事業所内の作業(地元のスーパーマーケットのショッピングカゴ洗浄)もありますが、支援時間の大半は、旅館内での宴会会場のセット、食鶏工場での作業、食肉加工センターでの作業、スーパーセンターでの惣菜加工・青果部門・店内清掃といった、地域企業の現場に出ての就労です。
これには理由があります。施設内訓練だけでは再現できない「本物の職場の負荷」──初対面の人とのやりとり、時間に追われる感覚、天候や繁忙による変動、指示系統の違い──を、実際の現場で経験しながら克服していくことでしか身につかない力があると考えているからです。就労習慣の定着や、一般就労への移行を見据えた実践的な支援として、あえて施設外就労を中心に据えています。
正直に言うと、施設外に出るというのは、簡単なことではありません。施設の中であれば、環境も人間関係も、ある程度こちらでコントロールできます。でも現場に出れば、そうはいきません。企業ごとにルールも雰囲気も違い、支援員が常に隣にいられるわけでもなく、体調や気分の波を抱えたまま、慣れない環境に立ち続けなければならない日もあります。それでも一つひとつの現場に向き合い続けているのは、そこにしかない成長があると信じているからです。
もう一つ、私たちが施設外就労にこだわる理由があります。地域の人手不足です。清掃も、食品加工も、小売の現場も、どこも人が足りていません。私たちが施設の中だけで完結してしまうと、支援は完結しても、地域の困りごとには何も応えられません。施設外就労は、利用者の力を育てながら、同時に地域の現場を支える──福祉と地域経済の両方にとって意味のある形だと考えています。
そしてもう一つ、大事にしていることがあります。現場に出るということは、企業の皆さんに障害のある方と直接一緒に働いてもらう、ということでもあります。実際に一緒に汗をかき、できることを見てもらうことで、「障害者雇用」という言葉だけでは伝わらない、一人ひとりの力や個性が伝わっていく。それが、企業側の理解を少しずつ広げ、障害のある方が社会の中で当たり前に働き、活躍していく土壌をつくることにつながると考えています。施設外就労は、利用者の成長の場であると同時に、地域全体が障害のある方と共に働くことに慣れていくための場でもあるのです。
現在の利用者数は20名。うち2名は非雇用型で、雇用契約を結ぶ前の段階から支援を行っています。「まだ雇用は難しいけれど、働く力を育てたい」という方にも入口を用意し、非雇用型からA型へ、A型から一般就労へと、段階を踏んでステップアップできる体制をつくっています。実際、昨年は非雇用型から雇用型へステップアップし、それをきっかけに生活保護から自立された方もいました。利用者の特性理解を土台に、就労面と生活面の両方から支援するのも、私たちが大事にしているところです。
受け入れてくださる企業の皆さまにとっても、施設外就労は単なる作業委託ではなく、「人手不足を一緒に解消しながら、人を育てる」取組みだと感じています。現場で得た気づきを、私たちも支援に還元しています。
「働きたい」を、
本物の現場でカタチにする。
これからも米子のいろんな現場で、福祉と企業の間に立ちながら、一人ひとりの”働く”をつくっていきます。